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第七六回 卒業証書授与式

2025年1月30日(木)、講堂にて第七六回生卒業証書授与式を浄土真宗の音楽式典に則り、厳粛に執り行われました。

担任が一人ずつ名前を読み上げ、卒業生 324名の代表が学校長より卒業証書を受け取り、学校長、理事長、ご来賓や在校生代表よりお祝いの言葉が贈られました。
ご卒業おめでとうございます。

学校長 式辞

神戸龍谷高等学校を卒業される324名の皆さん、保護者の皆さまご卒業おめでとうございます。心からのお祝いを申し上げます。
あわせて、今日の卒業式にお言葉を寄せていだいた浄土真宗本願派総長 池田行信 様をはじめ、育友会・春光会ご来賓の皆様に高い所からではございますが、厚く御礼申し上げます。
1948年に第一回の卒業式を迎えて以来、神戸龍谷高等学校の卒業生の数は皆さんを含めて2万6928名になりました。

さて、皆さんが入学された2022年は、新型コロナウィルス感染症への対応が大きな曲がり角を迎えた頃でありました。私たちは、身近な方がなくなるという異常な事態に心を痛め、繰り返される感染拡大の波に恐怖を感じ、将来への不安を強く感じ、社会が正常に機能しているとは言い難い状況下でした。
一生のうちで最も多感で、難しいと言われる高校時代を困難な状況下で過ごしても、皆さんは、現実を受け入れ、生きていることに感謝し、夢を持ち続けました。
なぜそんなことができたのでしょう。明日が来ることを信じているからです。どのような状況下でも夢を失わない皆さんと共に生きる中で、私は「生きる希望」は、「信じる」ことから生まれるのだと気づきました。「前に進む原動力」は「望ましい未来が実現すること」を「信じる」ことだったのです。

世界中の災害などからの復興は遅々として進まない現実はあり、厳しい生活を強いられている方がたくさんおられます。世界情勢も厳しい現実を改善できず暗闇に閉じ込められているような方もたくさんおられます。困難な状況は「依然として」あると言わざるを得ません。

高校生である皆さんもその現実を見つめ、何かを考え、それぞれの生き方に反映させているに違いありません。現代の問題は、「将来は現在より良くなるはず」という希望を支える原則が崩れ始めているということです。先に明るい未来が見えているような楽観的な世の中ではなくとも、「より善く生きようという気持ち」を心の底に持つ皆さんが支えるしかありません。私は皆さんを「信じたい」。予想がつかず、正解のない社会を良いものにしていくのは皆さんの力です。

まだ誰もやったことのない未知の境地を切り開くことが、皆さんに義務づけられるとすれば、忘れてはならないのは、自分と考えの違う人の意見をしっかりと聞くことです。しかも複数の人の意見を踏まえ、直面している課題に最終的に自分の判断を下して立ち向かうことが必要です。このとき、本校の「対話を根幹とした自由の学風」がきっと役に立つはずです。

神戸龍谷高等学校で培った学力と生きる力は、本校を去って新たな場所でさらなる発展を目指す人に、きわめて貴重な財産になるでしょう。
皆さんのさらなる飛躍を強く願って式辞とします。

令和7年1月30日
学校法人成徳学園
神戸龍谷中学校高等学校
校長 山﨑眞一郎

理事長 祝辞

梅の香りがそこはかとなく漂う春一月、成徳学園 神戸龍谷高等学校の第七十六回卒業証書授与式を挙行できる事は、卒業生、保護者、教職員はもとより、学校関係者一同の欣快とするところであります。さらに本日は西本願寺ご本山から総長、神戸別院の松本隆英 ご輪番、出身中学校の校長先生や先生方、大学や企業の方々、春光会、藤の会、育友会、後援会などから、ご多忙中にも拘わらず沢山のご臨席を賜り、錦上花を添えて戴いた事、深く御礼申上げます。

さて卒業生の皆さん、本日は本当におめでとうございます。今皆さんの頭の中には、爛漫たる桜の花の元での入学式の日から梅の香る今日までの三年間、六年間のいろいろな想い出が走馬灯のように回っている事と思います。コロナウィルスに始まる不況の閉塞感の中で日本はもとより、世界も激しく揺れ動いた激動の中であなた方は人生を考え、二度とない多感な青春を燃焼させてきました。

皆さんに贈りたい三つの生き方を示します。
先ず理性です。あらゆる手段で自己を確立し、「アイデンティティ」を持ち、何が本物で何が偽物かと判断する知性を身につけ、過ちのない選択をする事です。

二つに感性です。森羅万象の命の尊さを知り、花鳥風月に心を動かし、友の情に涙する豊かな心を養う事です。校訓の「和顔愛語」や学園歌の「愛と慈悲」を理解し具現する人こそまさに「感性の人」にほかなりません。

最後に活性です。青年の特技であるバイタリティを武器に、失敗を恐れず、守りや逃げに陥らず、常に攻めの姿勢で自分の信ずる道を勇気をもって進んでゆく事です。

順境には順境の、逆境には逆境の考えるべき、処理すべき問題は常にあります。事の大小に拘らず、問題点を見のがさない様に生きて下さい。

卒業する皆さん、英語で卒業を表すのに二つの言葉があるのをご存知ですね。アメリカではGraduation、イギリスではCommencementですね。Graduationは一つの段階の終了を意味し、Commencementは新しい段階の始まりを意味しています。今日の卒業式は、この二つの意味をもっています。ほろ苦い別離の思いを、洋々たる前途に向かう新しい出発の希望に替えましょう。

本校で培った「和顔愛語」の精神を座右の銘として「知性、感性、活性」に基づく、「生きる力」をもって、「友情」を糧に無限の可能性を求めて、しっかりと歩み続けて下さい。そして百年を超える輝かしい伝統をもつ、成徳学園、神戸龍谷高等学校の卒業生として約2万6千人の先輩に負けないように自分自身の人生を切り開いて行って下さい。洋々たる前途に素晴しい幸福のある事を念じて祝辞といたします。

令和7年1月30日
学校法人成徳学園
神戸龍谷中学校高等学校
理事長 小澤輝郎

卒業式の様子