第七五回 卒業証書授与式
2024年1月30日(火)、講堂にて第七五回 卒業証書授与式を挙行しました。
学校長 式辞:
「『幸福』にたどり着く道は一つではない」
進路を切り拓くために、自ら道を作り出し、創造的に生きるための力を伸ばすことが大切だと考えてきました。変化のスピードが速く、将来の予測が難しい時代だからこそそう思うのかもしれません。その不確実さ故にこれから進む道のりに不安を感じる人もいると思います。皆さんと同じように不安を持ちながら生きている人間として私はどのように考えているかをお話しします。
一言で言えば、正解主義を排除することです。現代は変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の時代だと言われます。戦争やパンデミックのような直接全人類に影響するような大事件が次々起こったり、テクノロジーの急激な変化で生成AIの影響が無視できないほど大きくなったりするような時代をそう呼んでいるのです。人が担ってきた役割を機械が取って代わるようなケースも現れてきました。
機械で代替えができるようなものでなく、それぞれのオリジナリティや創造性をいかしたスペシャルな行動はいけないことなのでしょうか。
世に言う一つの正解やゴールばかりを見つめ、周囲を気にしながら間違ってはいないかといつも不安に悩まされることから解放されることはいけないことなのでしょうか。
状況をよく見ることや、冷静に判断し、時には修正することを意識しながらでも、答えに到達する道は一つではないと思ってはいけないのでしょうか。
たとえばコンピューターで印字した文字は美しいし、整っています。しかし、手書きの文字をあえて選んで、自分の意図を伝えようと試みることがあってもよいと思いませんか。
皆さんに本校は「幸福」に生きる方法を学ぶ学校だと話したことがありましたね。
そのために
手書きの文字にあたたかさを感じる感性。
既成の価値観だけに頼らない柔軟な思考。
人として他者と共感しようとする連帯感。
を大切にしたいと、いつも思っています。
私は75回生の皆さんと過ごすうちに、そういう風に考えるようになりました。「『幸福』にたどり着く道は一つではない」
この言葉を、はなむけとしたいと思います。
[当日の様子]